先日、お天気も良く風が強めにふいていた日の事です。
園庭のロープに下げた鯉のぼりが、豊かな風を受けて勢いよく泳いでいました。
(まるで大きな子持ちシシャモのよう…)
園長室の窓を開けて見ていました。
近くにいた年少の女の子が「あの鯉のぼりは、誰が持って帰るの?」と聞きます。
「あれはね、幼稚園の鯉のぼりだから幼稚園においておくの」と答えました。
きっと今制作している個人用の鯉のぼりは、
先生から「おうちにもって帰って飾ろうね。」と言われているのでしょう。

別の年少の女の子がロープにくるくる巻きになった年長さんが作った鯉のぼりを見て、
「あれはどうしたの」と聞きます。
「風でくるくるまきになっちゃったんだね。」と答えると
「私がジャンプして、なおしてあげる。」といいます。
えっ! と思いましたが、女の子はトコトコ鯉のぼりに近づいていきました。
どうするかな…と見ていましたら、鯉のぼりの下まで行って見上げています。
『ジャンプするかな…』と思いながら見ていると、
くるりと体をこちらに向けてトコトコ歩いて戻ってきました。
「どうだった?」と聞いてみました。
「だめだった」と、少し力なく答えます。
「とどかないの?」 「うん」
でも、その後「誰か背の高い先生に頼もう」と言います。
この考えがすごい!!
「だれかなぁ、広田先生かな」と答えると園庭中を眺めて、「どこ?」と言います。
「探しにいこう」と言葉をかけて玄関に向かいました。
途中で さすまた を持って…
と、靴を履き替えて出たら、くるくる巻の鯉のぼりは元に戻っていて
元気に泳いでいました。
女の子の願いがかなったのね。

心温まるエピソードでした。